2005年 中秋節(前)
9月2日(金)
子とシャオマが、先に船で上海へ。飛行機の耳鳴りが激痛に変わる体質の為、シャオマはいつも、船で大阪と上海を往復する。
港からイミグレーションを通る子と旦那を見送り、なんか見たことある風景だな、と思う。牽いている荷物のカートに、子が保育所で作った紙の鯉のぼりをさしている。中国のご家族へのプレゼントらしい。鯉の上でカラカラと音をたてる風車...。子の手を引く父...ああ、そうだ!『子連れ狼』やん!!♪しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん...。と思っていると二人は船に入っていった...。
船の中から、何度か電話がかかった。子と私は、一日とて離れたことが無かったので、ぐずってないかしら、と心配したが、『完全没問題!』だそうで。さびしいのは親の方だけらしい(涙)。
9月4日(日)
子とシャオマ、上海着。大阪港国際フェリーターナルから蘇州号で48時間。子は、赤ん坊だった頃と違って、二本足で立つようになってから初めての長時間乗船だった。船酔いを心配したが、いたって健康、エンジン全開だった模様。シャオマは久々の帰宅で、大掃除に明け暮れている様子。
しばらく使っていなかった携帯電話が、シャオマのも私のも番号抹消になっていた!新しい番号(SIMカード)を買ってもらう。
9月9日(金)
子とシャオマに1週間遅れて上海入りする。こちらは飛行機で。
浦東空港まで迎えに来てくれたしとしとぴっちゃん親子、たった一週間会わないだけで、不思議と子がずんと大きくなった様に思う。
中国語はもちろんだが、日本語もなぜか語彙が増え、いろんな会話が成立しておる。シャオマの親友WU氏が車を出してくれて、1年半ぶりに虹口の自宅へ。
9月10日(土)
虹口の自宅は、以前は地下鉄3号線(前:明珠線)しか通っていなかったが、今は中心の地下鉄1号線も近所に伸びて来ており、大変便利に。超巨大スーパー『ロータス』が近くに出来ていたが、これは子連れで歩くとちとしんどい距離。
と、自宅の前から、三輪車タクが発進しているではないか!バンコクで乗ったトゥクトゥクに似てる。大人用三輪車(原動機無し!)の荷台部分に屋根付の座席があり、中にはゴザが敷かれている。「ロータスまではいくら?」「3元(約40円)だ。」おお、運転手は女性。シャオマ(♂)・伊織(♀)・子の3人を乗せてたくましく運行する!リニアモーターカーが走るこの街で、シャオマ曰く「1930年代みたい。」とな。
9月11日(日)
●『MIX』ライブ!●
これまで上海では、新天地ARKを中心に、中国人のお客様対象のライブを続けてきたが、一度、駐在日本人に向けたライブをやってみたいと思い立ち、昨年の冬から、K女史に多大な力を借りて、話を進めてきた。
K女史は在中国歴15年の駐在スーパーレディ(日本人)。本職はありつつも上海で弦楽バンドの活動と、マネージメントも手がけている。場所と日程、出演メンバーの選定、広告、すべてにおいて動いてくれて、いよいよ今日が本番である。
場所は淮海西路の『MIX』。オーナーはやはり日本人のT氏。お料理が最高だ!上海でこんな美味しいイタリアンはなかなか出逢えない。
上海で駐在の日本人だけで構成されているビートルズバンド“オンリーハーツクラブ”とのジョイント。当初は坂上のオリジナルも半分くらい入れて、という企画だったが、駐在の方々の夏季休暇も重なってリハに限度有り、で、坂上がビートルズナンバーを歌うゲスト設定に。
今日に限ってものすごい台風である。
だが!なんと、かなり広めな客席に、お立ち見が出るほどの盛況ぶり!他のライブハウスは閑古鳥の今日、駐在日本人のネットワークパワーを見た。
― ライブの内容は“ライブレポート”にて ―
●ライブがはねて...●
『MIX』ライブのあと、馴染みのライブハウスを廻る。
『WEST SIDE』
シャオマの親しい友人がギターを弾いている。中国のポップスを万遍なく楽しめる。
『M-BOX』
シャオマが来日直前まで演奏していたライブハウス。やめてから2年以上経ち、それ以来初めて訪れた。シャオマは当初、ここへは来たくない、としぶしぶだったが、入り口から入るなり接待係の男性から「老馬~~!!(馬さんじゃないか!!)」と大歓迎を受ける。演奏中のバンドメンバーも気づいて、大喜び。ステージに上がって来い!と合図するのを遠慮して、席につく。演奏の終わったメンバーがやって来て、久々の歓談。来てよかったやん..と一人思う。子も一緒。メンバーに囲まれて「にーはお」とご挨拶。数日後に、また来ることを約束して、おいとまする。
『JZ Club』
最近、復興西路に出来たジャズのライブハウス。日本のテレビで紹介されていたのを観て興味が沸き、どうしても、とシャオマが言うので、『WEST SIDE』のメンバーの仕事終わりを待ち、みんなで向かう。オーナーという人にシャオマが挨拶したが、大変若く、学生みたいな感じ。北京出身とのこと。にこやかな人である。
このオーナーはエレキヴァイオリン担当、白人メンバーバンドとの演奏が始まった。...あいや~、うまい。相当なレベルである。古株のジャズハウス『コットンクラブ』もよいが、演奏の迫力が勝っている感じ。ここで本日は切り上げる。
9月12日(月)
台風は止んだ。
復興路の中国工商銀行へ行く。上海市内のATMの多さは、さすがに大都会、行き届いているが、振込等にはまだまだ不便がある。違う銀行同士の振込は、このくらい大手の銀行でも窓口業務。しかも3日かかるという。ううむ。
銀行での用事が終わり、外へ出た。大通りを渡ろうとしたところに、車が急に曲がり込んで来て、思わず大声をあげてしまった。
いや。中国の赤信号は基本的に“右折OK”。こちらのカンが鈍っているのだ。
しかしこの国は、車と歩行者の関係が“いい感じ”である。自分の身は自分で守る、というのが鉄則だが、それにしても、うまいことお互いぶつからんもんだ。
私は、この3月に免許を取ったばかりで、車の運転を知ってからは初めての上海。街中すごい運転だなぁ、と今まで気づかなかった部分も含め、びびってしまう。
9月13日(火)
●『大野洋子』??●
シャオマの古い友人、X女史に会う。
西安の出身で、難関の上海音楽学院でチェロを専攻、首席で卒業した経歴を持つ。卒業以降は音楽のビジネスに力を入れ、現在は、音楽番組の制作会社代表、上海東方テレビの番組制作など、スケジュールびっしりのスーパーウーマン。
貴重な時間を我々の為に割いて下さった。大変なツワモノだと聞いているし、お会いする前は“どんなにコワイひとだろう”と失礼ながら思っていたが、何とも気品溢れる素敵な女性だ。会社を立ち上げる前は、テレビ番組の司会を務めていたこともある綺麗な人。たくさん音楽の話をした。
日本の音楽家について、彼女が質問してきた。
「大野ヨウコさんは、昔バレエをやっていたそうですね。」
大野ヨウコ?誰?バレエをやっていた人??バレエをやっていた、という部分はさておき、『大野ヨウコ』って知らない。新鋭の音楽家かな?
シャオマが口をはさんだ。
「あの人だよ、あの~。ジョン・レノンの奥さん。」
それは....(★☆!!)
「オノ・ヨーコのこと?大野(ダーイェ)じゃなくて、小野(シャオイェ)??ですよ。」
中国人二人が目をまんまるくする。
ついでに多少日本語の分かるシャオマに、カタカナで書いてやる。
「え~!!?」
“え~!!?”ってこっちのセリフやん。
なんと、中国では“オノ・ヨーコ”の名前は“オオノ・ヨーコ”でまかり通っているらしい。
「最初に訳した人が間違えたんじゃないの?」と簡単に言ってしまったが、この音楽人二人が“大野”と言ってるからには、大部分の中国人がそう思っている、ってことやなぁ。
あらららら。
9月14日(水)
老婆会(中国籍のご主人を持つ日本人奥様の会:老婆は“奥様”という意味)の友人、Tさんと2年以上ぶりに会う。
うちの子と10日くらいしか誕生日が違わない男のお子様がいて、出産前からお互いよく連絡を取っていた。
「日本にしばらくいたのに悪いんだけど~」とTさんが待ち合わせに指定したところは“薩莉亜”!そう、“サイゼリヤ”。
日本でもあんまり行ったことないので、なかなか興味深い。
イタリア料理(って言っていいのか、サイゼリヤ)は、上海ではかなりお高い値段を取られるけど、ここはやっぱりサイゼリヤ、相当安い。15元くらい(約210円)でパスタなんか食べられる。
味も、結構いけますね。
人民公園付近の広東路店にて。
夕方、浦東に行く。
今回の帰海では、日本の仕事で一緒のS氏が、数日一緒に同行する予定だった。
中国人の親友が、数年前に留学先の神戸で脳髄膜の難病にかかって亡くなり、上海にお墓があるので参りたい、という。
実はS氏も、自身の米留学後に同じ髄膜の難病にかかった、という経歴があるのだそうだ。S氏はその後、奇跡的に助かったが...。
その病名や立場の偶然に、並々ならぬ思いがその友人にあるという。
しかし、S氏が上海に訪れる希望は叶わなかった。
彼は、数ヶ月前の4月25日、JR福知山線脱線事故で車両の1両目に乗り合わせていた。
上海に帰ってくる前、不思議な夢をみた。
夢の中は、S氏と最後に会った4月22日の夜、という設定になっていた。
S氏がどこかから螺旋階段を下りて、自分の家へ帰ろうとしている。見知らぬ青年が彼の横にいた。
私は、彼を見つけて、引き止めようと思い立った。
私はこの夢の中で、3日後に彼に起こる事を知っていたのだ。
今、ここで彼を引き止めたら、あの事故に遭わないで済むかもしれないと。
『Sさん!!』
そう声をかけた瞬間、なぜか横の青年が大きくつまづいて、危うく螺旋階段から転げ落ちそうになった。
それを見て私は
“声をかけてはいけなかったの...?”
ととっさに感じた。
その瞬間、S氏がゆっくりと私の方に振り返り、
“...バイバイ!”
と言ってにっこり笑った...。
本当に満面の笑顔で。
そこで、ジュワッ...と目が醒めた。
S氏がお別れを言いに来てくれたかのように思えた。
次の日、その話をS氏のお母様に伝えたら、
「きっと、息子の横にいた青年は、上海の彼だと思います。
今頃、二人で仲良く天国でお話してると思うんですよ...。」
そう仰った。
ああ、そうか...。そうですね。
S氏のお母様から、上海の友人宅へ届けるもの、事故の新聞記事、そして手紙を預かっていた。
私とシャオマと二人がかりで、S氏のお母様のお手紙を訳してさしあげる。
浦東にあるその家で、海を越え、同じ気持ちで涙ぐむご夫婦のお姿が胸に痛かった。
9月15日(木)
●老婆会●
老婆会の定例の集まりに参加した。
興義路万都中心の「津軽屋」にて。
上品な日本料理で、上海で新鮮な刺身が食べられることに感動。
全体的な味はやはり青森、ややしょっからめか。
お向かいに座っておられた老婆会事務局の女性が「わたし関西人やから、ちょっと濃いわ~。」と仰る。
私「え~。どこなんですか?私、兵庫なんです。」
女性「え?私も兵庫ですよ。どちらですか?」
私「西宮です。」
女性「え~???」
なんと、本日先程会ったばかりのこの女性、同じ西宮東高校出身の人だと判明。
しかしまぁ、こんな遠く離れた街での偶然。
「担任誰?」
「何部?」
など、一気にローカルなテーブルになってしまった。
●古北●
日本人が最も多く住んでる地区、古北。
日本モノの各種お店、高級なマンションが立ち並ぶ。
地代の高い地域だが、最寄の地下鉄はないし、はっきり言って便利なところではない。
そのうえ上海に住む日本人とあまり関わって来なかった私は、これまでほとんどここに用事が無かった。
久々にこの地域にやって来た。
『MIX』ライブの時に、音響を担当して下さった音響会社“音空”さんの事務所にお邪魔する。
音空さんの看板もずばり日本語だ。
駐在日本人子女達が通う、ピアノ教室なども併設されているし、地下に大きなリハーサルスタジオもあり、アンサンブル練習にある程度お金をかける意欲の人にとって、上海随一のスタジオだそうだ。
ライブ当日はどうしても慌しかったので、改めてご挨拶をしたく、K女史と共に参上した。
代表のF氏と、去年の上海ジャパンフェアで一度お目にかかったS氏がいらっしゃった。
どちらも現場の人なので、お話をしているといろんなところに話が飛んで(但しクリエイティブ的な方向に)面白い。
F氏が「ぼくらの若い頃は、BOφWYから影響受けましたね~」と仰るので相当お若いんやな、と思っていたら、だんだん「いや銀蝿も」とか話がだんだん古くなっていって、聞くと私と同じ年だということが分かった。
「なんだタメじゃないすか~」ということで、何だかまた横道にそれながらその日はおいとま。今夜は、カメラマン恵蓮ぢっぢが上海入りなので、空港に迎えに行ってやらねばならない。
ああ、ぢっぢも銀蝿が好きなんだから、もうちょっと早めに来ていたら面白かったのになぁ。
ぢっぢが浦東空港に着いた。
早速その話をしたら「その人、永ちゃんは好きか?」と、“その道の人”らしい切り替えをしてきた。
知らん知らん(笑)。
9月16日(金)
●薬局●
シャオマは、クラス会に出かけた。
ぢっぢと子を連れ、南京東路へ。
ぐるっと廻った後、上海第一医薬商店へ向かう。
目的は黄氏響声丸。
これは本当によく効く。漢方の声がれの薬。
主要成分は胖大海とか貝母、蝉衣(えっ?)と書かれている。
日本ではあまり見かけないので、上海に戻って来たら、必ず買いだめする。
個人輸入業者に頼む手もあるが、当然現地より高くなってるし、やたら手数料がかかってあほらしい。
上海第一医薬商店は、大きな薬局で1F~4Fもある。
尋ね尋ねていろいろたらいまわし、やっとこさ黄氏響声丸にありつき、4ケース購入。
実は、もうひとつ、目的の薬があった。
その名は“威龍”。
ここで「それ知ってる~。」という男性諸君がいたらおさすが!(?)
そう。
男性専用の有名な漢方精力剤なるものらしい。
母の友人から「伊織ちゃん、今度上海帰ったら、買うて来て欲しいんや~。」と
懇願されていたもので、私も律儀に薬名をメモって持って来ていた。
ぢっぢが「そんなのマーさんに頼みなよ~。」と言うが、年頃の男性(?)の方がこんなん買うの、抵抗あるのではないか?
私は全然抵抗無い(爆)。
早速、1Fの健康薬品売り場で尋ねる。
「叔父から頼まれて~」などわざと前置きしてしまった辺り、やっぱり照れがあったかも(笑)。
しかし目的の“威龍”は無く「4Fならあるかも。でもね、これ。これ評判いいよ。日本人がよく買ってるよ。」とお薦めされたのは、なんと蟻をつぶした保健剤。
ちょっと惹かれたが、ともあれ“威龍”では無いので「4Fで聞いてみます。」と、蟻つぶし剤を手にした小姐にさよならする。
しかし4Fでも見当たらず。
だがここでは驚いたことに、外部からの“矯正”器具を紹介された。
「“位置”をなおすんでしょ?あっちにあるよ。」と年配小姐が、言うもので、どんなんやろう?...と「あっち」に行ってみた。
しかし見当たらず。
興味はあったが(!)周りの服務員がジロジロこちらを見出したので、それ以上「見せて」と言い出せず。無念。
ふと脇の階段から下の階に下りようとしたところ、ピン!と来た。
ピンクコーナー!
上海の街では、夜の必需品や大人のおもちゃを置いている「保健商店」が堂々と大通りで昼夜問わず店を開いている。
この薬局の中にも、むろんあった。
ピンクコーナー!!
一応、薬局の隅に位置していたが、そこだけ目の醒めるような真っピンクの壁で、一目でそれと分かる。
早速“威龍”の名を挙げて聞いてみる。
と、「あれは、販売禁止になってますよ。成分に問題があって。」とのこと。
あら、それは残念。
だが、やはり一番手ごたえのある回答を得られた。
専門の威力!
と感心していたら、機関銃のように他のお薦めを出して来た。
とりあえずそれぞれ値段を聞いて、チラシをもらって退散する。
“威龍”は無かった、と母に報告したら、その友人「蟻でもいいから~!」との返事だったそうで。
男の人は大変。
●B級グルメの会●
夜は、B級グルメの会という、上海各店の美味しいものをわいわい食する、という交流会に出かける。
2ヶ月に1度は開かれる大きな会だが、今回、主催のY氏に無理に頼み込み、自分が参加出来る日に臨時開催して頂いてしまった。
場所は復興中路の“博多新記”。
潮州菜(広東料理)の店らしい。
いやはやお店に入ってみてびっくり。お客がところ狭しと座って大流行りである。我々のグループもあれよあれよと人が増え、椅子を頼んでもすぐ足りなくなってくる。こんなににぎわってるレストラン、近々の日本では見ないなぁ。
ブーザンさんという方が、ブログでこの日のことを掲載していらっしゃる。
お。子とぢっぢも写っている。
私の横(子と反対側)に座っておられる美人は、偶然お逢いしたEnjoy Club幹部のアイズさん。
http://plaza.rakuten.co.jp/ieiri8/diary/200509160001/
9月17日(土)
●リハ●
1時から、本日公演分のリハ。
今日は午後、母・雷神が上海にやってくるので、シャオマは、ARKのメンバーに挨拶だけして浦東空港に迎えに行った。
ライブのプレイヤーはおなじみのメンバーである。
コーラスだけが去年と代わっていた。
一人は、以前ギター弾き語りでARKに出ていた男の子。お尻まである長髪だったのに、今はスキンヘッドで、すぐには分からなかった。
もう一人は、若い女の子だが、タバコ吸いながら歌ってる(う~ん。日本ではありえない~)。
タバコが好きなんだなぁ。
あ、ぢっぢがテーブルに置いた日本のタバコまで、フタ開けて見てる(笑)。
...と、よく見ると。昨年までM-BOXで歌っていた女性だった。
“わ~ひさしぶり~”と盛りあがりつつ。苦笑。
このメンバーは上がりが早いので、リハは大体1曲1、2回通していく。
4時からは、明日出演の上海ストリングスを迎えてのリハ。
ストリングス隊バンマスのマエストロ青木氏が、普通会話に加えて音楽専門用語も中国スラスラペラペラなので、これは安心♪
彼が、ARK ALL STARSの方のリーダーであるKey.のトンイン氏に、曲の進行状況などを説明。それをトンインがさらに自分の方言でメンバーに伝える。
「あ、サヘホァ(上海語)!!」とかわゆく首をすくめるマエストロ氏が印象的♪
これまた着々とリハは進む。
そういえば、上海人は、曲のタイトルも自分たちの表現に変えてしまう。
私の「ワンニー、プルンニー~今日、明日」は、そのままで「今天、明天:ジンティエン、ミンティエン」で中国訳しやすいのに、わざわざ「今朝、明朝:ジンゾ、ミンゾ」と言っている。
日本語で生きて来たらこれは不思議に思う。
既につけられたタイトルを、意味はそのまま関西弁読みするなんてないし。
●ライブ●
いよいよARKライブ!
母・雷神が初めて現地で上海ライブを観た。
「やぁ~やぁ~、大きくて綺麗なとこやね~。」と感動し切り。
「みんなうまいわぁ~」とライブもご満悦。
代表のTORAさん、店長のWANGさんに、ようやく母を紹介出来た。
4年前、彼らに出逢っていなければ、上海で歌うことが叶ったかどうかわからない。そんなことを母にも話した。
お二人とも日本語堪能なので、来たばかりの上海で母の緊張もちょっとほぐれた模様。
子は本日にかかわらず、私の演奏中はなぜかいつも客席でぐっすり。
https://blog.goo.ne.jp/officemyonsu/e/4c09577fa15e776d05de5ecc0a857bf0
●M-BOX●
先日立ち寄ったここに、ARKライブ終演後、再びやって来た。
今度は母とぢっぢも連れて。
「若い頃よく行ったサパークラブみたいやわ♪ここも大きいとこやね」と母。
母が、シャオマの職場にやって来るのも初めてである。
いつも賑わっているM-BOXだが、週末の今日は、イベントで特に人が混んでいた。
受付も「小さい子はちょっと..」という反応である。
バンドのリーダー、Z氏がやって来て「シャオマ、ちょっと待ってて。」と。
待つこと5分で「表からは厳しいから」とキッチン口から入らせてもらう。
中に入ると、ダンスダンス!老いも若きも踊れ踊れ状態(笑)。
我々は、なんとVIPルームに通してもらった。
“踊れ踊れ”とはちょっと区別をつけられた贅沢な空間だが、母は“踊れ”の方に興味そそられているようである(笑)。
バンド演奏が始まって、ステージのヴォーカル少年がなんか言ってる。
「今日は素敵なゲストプレイヤーが来てます」...?
どうもシャオマのことらしい。
VIPルームで静かにくつろいでいて、いきなり名前を呼ばれたシャオマ、かなり強くイヤイヤをしていたが、ヴォーカルがとうとう舞台から下りて迎えに来た。
思いがけないことで、我々は大喜び。
それまでベーシストJ氏がシャオマに楽器を渡す。
パッと出来る曲ということで『加州飯店(英訳してね:EAGLESの最も有名な曲です)』ライブバージョンが始まった。
なんとJ氏は歌も素晴らしい。
シャオマの久々のステージもなかなか。母はまた感動していた。
演奏が終わってシャオマが戻って来ると
子も『パパじょうずやね~』とほめちぎり(笑)。
9月18日(日)
●中秋節●
本日は、中秋節。
日本では“十五夜”といっても、特に祝い事がある日ではないが、中国では、遠く離れた家族も出来るだけ集まり、食事をするという大事な日である。
我々も、昼間はホテルのレストランを取り、シャオマの家族と兄弟を誘って円卓を囲んだ。
実は、シャオマの家族と私の家族が顔を合わせるのは、今日が初めてである。
楽しみにしていた結婚式も、SARSでお流れになったし。
ともあれ、お互いの親と親が話す(通訳が要るが)機会が作れたのは嬉しい。
母同士は、合うなり硬く握手をして、じんわり涙ぐんでいた。
●AZURA●
ぢぢめんが撮影している演奏家・二代目高橋竹山さん。彼女担当のヘアメイクの方が、上海にも美容室を出していると聞き、行ってみることにする。
11日に引き続き、今日のライブでも亀井さんが撮影して下さるので、ライブ前にセットしてもらうことに。
大矢さんという愉快な人がついてくれた。
大矢さんのお人柄、そして場所もいいし、お店も大きくて綺麗。きっと人気のお店だろう。
ダダーとしゃべっている間にセット終了。
すてきな仕上がり♪
上海AZURAにて(美容師は大矢朋美さん)
【AZURA】
電話021-6387-7773
淮海中路668号
思南路との交差、大きなスクリーンのあるビル4階
●ライブwith上海ストリングス●
さて、二度目となる上海ストリングスさんとのお手合わせ。
ARK ALL STARSとの合体で初ステージ。
記念すべきこのステージ。
ストリングスチームと亀井さんのお計らいで、DVDをプレスすることになった。
演奏者がところ狭しと並んだステージ写真がジャケット。
http://iori-myonsu.net/liverepo/050918.htm
9月19日(月)
母、ぢっぢ、我ら親子3人の計5名で、杭州へ行く。
私は杭州は2度目。
シャオマの親戚がいるので、遊びに来たことがある。
ああ、そういえば、あの時も日本人と中国人の感覚の違いを知った。
(当時)夜の11時頃。
遅くまで開いてる食堂で食事している時。
「杭州で仕事してる音楽仲間から、たまには遊びに来て、って電話があった。」とシャオマが言う。
ちょっと考えて「近くだから今から行こうか」と言うので
ええ?上海からそんなに近い??
と妙に思いつつも「電車で少し行くだけ」というので、
近いならいいけど、と上海駅までついていった。
切符を買うのを待っていると、夜3時発のがあったという。
3時~~?
あと2時間も~?
で、とにかく駅で時間をつぶして乗った汽車の座席は「日本人は出来るだけ避けた方が」と言われる硬座。
まあいいか、と思ってまた何も考えずついていく。
さて、ガタゴト揺られ、目指す杭州に到着したのは...
...朝6時過ぎ。
そうか。
中国人は自分が広い国に住んでて、うちらとは感覚が違うのや。
こんなとこも「すぐ近く」なのや。
...などという、懐かしい中国の列車「初乗車」の思い出がよぎる。
あの時は、快速が走っていない時間帯だったので、とんでもなく時間がかかったが、今回はさすがに特快だし「軟座」。
上海の梅隴(メイロン)駅から杭州直行の列車に乗る。
約2時間で杭州に到着。
列車の中で、売り込みに来た杭州めぐりツアーに加わって、西湖・霊隠寺などなどの名所をめぐる。
カーッと暑い日である。
昼食で立ち寄った面条(うどんのようなもの)の屋台で、つめた~いビールがどんどんお腹に入っていく。
ここら辺りのビールが薄いのは、やはり気候に合わせているんだな、とぢっぢと共に納得。
日本のビールみたいなのだと、お腹にたまりすぎてガンガン飲めない。
しかしこれだと飲んでも飲んでもすーっと入る。
しかも酔っ払わない。
それほど暑い。
観光コース全て終了にさしかかり、乗ってきたバスに戻ってみると...、
エンジンのかかったバスの中から、真っ黒い煙がモウモウとたっているではないか....!???
乗客席も真っ黒...というべきか真っ白というべき?..という状態!
しかも、文句言いつつ、他の乗客は既に全員乗り込み、煙の中でバスの発車を待っている。
乗車口まで近づいたが、とても乗る気になれない。
咳き込むほどの黒煙だ。
あとは杭州駅に戻って、そこから各自解散になるだけだったので、シャオマがガイドさんに駅までの行き方を聞いた。
タクシーで15元くらいだというので、即決タクシーで帰る方を選ぶ。
バスの黒煙にも驚いたが「乗ってるの~?あなた達...?」と乗客のアクシデントに対する強さに圧倒された。
これ、日本だとニュース番組出ちゃうレベルだよなぁ。
ちなみにこの後、杭州から上海へ帰る列車で、黒煙バスに乗って戻った乗客に会った。
「あら、また会いましたね~。」と平常で爽やかな挨拶をしてくれた。
上海・梅瀧駅から中心地に戻るのに、タクシーでも大体20分くらい。
しかし、バブル上海では、待っているだけでは、なかなか車は拾えない。
客が降車するのにスーッと停まったタクシーに、走って詰め寄って行き、前の客がお金を払っている間に、もう乗り込んでしまう。
女達はとりあえず子の抱っこと荷物持ちを担当。
シャオマが全速でタクシーに走り向かう!
また母が「まあ!まあ!」と驚き。
「日本のバブルん時よりもっとすごいね~」
ようやくタクシーにありつき、市内中心地へ。
今回上海入りした当時は、「中国の運転こわい!!」と思ったものだが、「ぶつかってもいいんなら、なんかここでも運転出来そうな気がしてきたわ(笑)」
と、ぢっぢと私。
速いタクシーに乗っていると、なんだかゲーム感覚である。
人っておそろしい...。
9月20日(火)
今日は、母とぢっぢが日本に帰った。
さびしいなぁ。
9月21日(水)
本日は、シャオマの誕生日。
盧湾区のとあるホテルのレストランに、幼なじみや悪友を呼び集め、やいのやいのでパーティーした。
夜半、ウェイトレスがブーとふくれて「お店、閉店なんです。私たち、もう家へ帰るんですけど。」と言い出した。
我々の一人が「あ、じゃあ、ビールと栓抜き、ここにおいといて。」だと。いやな客だなぁ(笑)。
でもウェイトレスは、本当にビールと栓抜きを置いて、少しライトを暗くして出て行ってしまった!!!
子は、自分のレパートリの歌を全部(中国語のも!)披露してごきげんだった。
9月22日(木)
今まで買い物の時間があまり取れなかったので、お土産を含め、近所に買出しに行った。
CD、DVDはぜひとも買いあさりたい。
大きい店を二件廻った。
子の為に「アンパンマン:中国語版」を探したが...無い!
あまりこっちじゃウケないのかなぁ?
シャオマの友人に聞いたら、あることはあるらしい。
名は「餅干超人」!
でも「餅干(ビンガン)」ってビスケットのことだよなぁ。
硬そうなあんぱんまんやなぁ。
ドラえもん、ちびまる子、クレヨンしんちゃんは、相変わらず普及してる。
がんばれ!「アンパンマン」!!
9月23日(金)
子を再び長期シャオマに任せ、私一人、日本へ。
さて次回(来年やなぁ)の美音子的頁、どんなことが飛び出てきますかね?
今から楽しみに...。
再見!!